【ひびやみつ】
【狩野則信 作】
【絹本着色 一幅】
【明治元年(1868年)】
日比谷健次郎の依頼により描かれた、伊藤谷村(いとうやむら/現足立区綾瀬)の豪農、吉田家より嫁いだ健次郎の祖母、美津(1788年~1884年)の八十歳時の肖像画だ。
作者は表絵師も務めた狩野則信(のりのぶ)だが、本作が成立するまでに幾度かの変遷があったと見られ、日比谷家には則信の落款のある複数の「日比谷美津像」が伝来している。
本作(写真上)は最終作として絹地に描かれ、上部に漢詩賛が付されている。
さらに、真桑瓜(まくわうり)の上部や煙管など各所に金泥が施され、着物や帯には濃墨に漆などで光沢を出す手法で角度によって浮かび上がる細やかな紋様が描かれるなど、高価な素材と、高度な技法とが用いられている。
※狩野則信による日比谷美津像は、紙本着色での稿本(写真下)も残っている。
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