さいき
【へんがく えいじゅさいき】
【超然 書】
【紙本墨筆 一面】
【安政3年(1856年)】
筆者は落款印から超然(ちょうねん)(1793年~1868年)と思われる。
日比谷健次郎の千葉道場での剣術修行や日々の学問に向かう勤勉さを述べている。この事により「栄」と「寿」という人の願いを達するので、健次郎に対して「栄寿斎(えいじゅさい)」という号を与え、また字(あざな)として「子勤(しきん)」としたことを記している。
そしてこれから詩や絵画を学びたいという健次郎の願いも併せて記している。性格など健次郎の人物像を物語る基本資料である。
もともとは僧である釈道本(しゃくどうほん)という人物による別の墨蹟「栄寿」(形態等未詳)があった。残念ながら現在は失われているが、その由来についての説明を書いた扁額である。
なお、釈道本は法名を「憲寿(けんじゅ)」、字(あざな)を「虎渓(こけい)」とする知積院の僧で、江戸浅草 ・ 石清水八幡宮別当大護院(いわしみずはちまんぐうべっとうだいごいん)(現、蔵前神社の別当。現在は廃寺)住職であった。
※墨蹟(墨跡)という言葉は紙や布に墨書された肉筆一般を意味するもので,書跡,筆跡と同義である。
※号 主に文人が書画、俳句など創作発表する際に使用する本名とは別の名称
号をいくつも持つ事もあった
※字(あざな) 個人の通称のことである。例えば織田信長は本来は織田三郎信長であり三郎が通称、
字は信長でこれは正式な名前である諱である。
※諱 (いみな)本名にあたるものであるが、生前には簡単に用いる事はなかった。
※諡 (おくりな)亡くなった後につける名前
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